megamouthの葬列

長い旅路の終わり

中年IT人材おじさんの平穏

IT人材が不足してるんだって。零細Web制作会社で言えば、退職者が残したubuntu12サーバーに眠るRails5アプリをすぐにDDDでマイクロサービスに再構成して、jQuery満載のコードを全て読み下したうえで、フロントエンドをReactかなんかのSPAに全部書き換えて、E…

事業のわかるITエンジニアはどこにいるのか

「事業のわかるITエンジニアが全然いない」問題というのがある。 Twitterあたりでは割と禁句というか、ほぼ確実に荒れる話題で、言えば燃える。 誰かの言葉を引用するのも差し障りがあるので、頑張って再現してみると エンジニアは文句ばっかりで、マネジメ…

パラノイアのプログラマと第6感

今だから白状すると、昔、運営していたサービスの一般ユーザーのパスワードをハッシュ化(暗号化)せずに平文でDBに保存していたことがある。言いわけは、幾つかある。 一つは、今では当たり前のようについているパスワードリマインダーの仕組みが当時は一般…

今月の懺悔、アフターコロナ時代の葬列

お久しぶりです。 この懺悔と称する、埋め草のエントリー。それほど意味がないし、何より自分で読み返しておもしろくないので、もうやらないつもりだったんですが、うっかりカクヨムのほうに小説を載せてしまって、このブログからリンクがないのも不親切な気…

ソリティアおじさん

中年になったのでソリティアおじさんになりたい、と思った。西日差す窓際で、Windowsに入っているソリティアというゲームを日がな一日やり続けて、給料を貰っているおじさんにである。ソリティアおじさんは伝説の存在だ。私も実は、目にした事はない。主に大…

プログラマと出世

就職することになって、つまりは私が職業プログラマになって、それを聞き知った叔父が私を訪ねてきた。「プログラマってのは、若いうちはいいが、長くはできないんだろう?」リビングの炬燵に潜り込んだ叔父は寒そうに体を震わすと、最初にそう尋ねた。 当時…

電通のビジネスはなぜ嫌われるのか

久しぶりなので、どうでもいい話をする。 大昔、たまたまつけたTVに『ですよ。』という芸人が映っていて、漫談というのかコントというのか、お笑い番組だったから、とにかくひょうきんなことをやっていた。 どういうものだったか、書くのも面倒なので、Wikip…

オレオレ証明書を使い続ける上場企業をまとめてみた

あるいは私たちがPKIについて説明し続けなければいけない理由 Web屋のなくならない仕事の一つに「SSL証明書とPKIについて説明する」というのがある。 世の中のサイトはだいたいhttps://というアドレスでつながるように出来ていて、httpsでつながるということ…

その暗き流れのほとりにて

奇妙な夢を見ていた。昔住んでいた子供部屋の窓から、降りしきる雨を見ている夢だった。 雨は随分前から降り続けている。外を見下げるとアスファルトに薄い雨の膜が出来あがっていて、濁った水が側溝の格子から際限なく運び去られていく。それでも雨の勢いが…

RE: 最終出社日について

松田部長 お疲れ様です。システム戦略グループの山下です。最終出社日についてのお返事ありがとうございました。 先日ご連絡した来年1月20日を最終出社とする退職は難しい、とのご回答でしたが、申し訳ありません、こちらとしましても、諸事情を考慮のうえ、…

キレる中年プログラマ

id:cildさんが久しぶりにブログを更新して、それが実に良かった。 だって 鉄の棒でそこらじゅうを狂ったように叩きまくって、大声で罵倒した。そして最大ボリュウムで「二度とオレに指図するな!」と10回くらい怒鳴った。 だぜ?人がキレているのを見ると…

ずっと夜で

入った会社はWebサービスをやっていた。アクセスカウンターとかレンタル掲示板みたいな、そういうプリミティブな感じのウェッブ。今でも化石みたいに残っているとこがあるよね。teacupとか。もうないか。 当時はそういうことをしている会社をASP(Applicatio…

プログラマのためのビジネス・マナー講座

最近、若手のプログラマと仕事をしていると、フレームワークやライブラリの知識はあるのですが、常識が欠けているのではないか、と思う事があります。 業界経験の長い私たちから見ると、ほぼあり得ないようなことを、論理的な正しさだけを基準に決めつけてし…

貧乏なおじさんへのささやかな贈り物

ネットバブル前夜、ホリエモンの会社がまだオン・ザ・エッジと呼ばれていた頃、パイナップルカンパニーというWeb制作会社が神戸にあって、社長のおじさんは、ナウいホームページを作ることにかけては関西随一と呼ばれていたその会社に見積もりを依頼したらし…

どう考えたら IT企業の三景

お盆前進行に入り始めた社内。皆忙しそうにしているが、私には仕事がなかったので、開発研究部署に移ってみた。 部内の机は埋まっていたが、ふと見ると、誰も座っていない机に高性能そうなフルタワー筐体が置いてあった。隣に壮年のエンジニアが座っていた。…

君たちはどう逃げるか

平成が終わるというのに、暗い話題ばかり目につく。おおまかに言って、アラフォーは自分たちの老後はどうなるのかと、心配しているし、若い人はそもそも結婚して子供を作れるのかと、疑問に思っているし、年金世代は死ぬまで今の生活を続けられるだろうかと…

氷河期世代に告ぐ

曖昧な男だった。 真っ暗な客席が取り囲む舞台の中心に立って、スポットライトで照らされた黒いスーツの輪郭が、強すぎる光に半ば溶けていた。男は手を後ろにまわして、観衆の凝視を楽しむように、静止している。 時々、遠くを見るように顔を上げ、肩より上…

かくして経営者は人の道を説く

喫茶店で紅茶を飲んでボーとしていると、隣席に男性二人組が座った。 両方とも中年から老人にさしかかった齢に見え、体格に合わせた肩幅の広い良いスーツを着ているが、どこか下卑てもいて、一見して中小企業の経営者仲間に見えた。二人の声が大きいので、そ…

僕らのSIerワンダーランド

この業界に入る前、私はいわゆる電電ファミリーと呼ばれるNEC、富士通、OKI、日立のような巨大ベンダーには、さぞかしハイレベルな開発体制があって、マネージャーから一兵卒に至るまで中小零細とは全く異なる頭の良い人たちが、日夜世界を相手にしのぎを削…

実況!パワフル・プロ商談

(歓声)実況「さあやってまいりました!顧客と営業の憧れの舞台、全国プロ商談大会。 今年のテーマはITシステム、会場は札幌ドームとなっております」 解説「楽しみですね」 実況「プロ商談とは、馴染みのない競技ですが、この大会の見どころはズバリ何でし…

実を言うとこの業界はもうだめです

以前書いたように、Web業界は今月で崩壊するだろう、と私は予見していた。仕事をさばききれず、納品遅れ、または検収拒否、あるいは品質を犠牲にして納品した結果、顧客サイトで致命的な障害を引き起こすだろうと考えていた。 賢者ぶって予言したのではない…

笑えなければ沈黙するしかない

最初から断っておくとこの文章に読む価値はない。 どうにも心のわだかまりが消えぬので、書いてしまおうと思ったのである。だから読んで楽しいものではないことは承知で、書いている。憂鬱の原因はピエール瀧の逮捕である。 こう書くと実に間抜けに見える。…

ズルイ

つい、身も蓋もない話をしてしまう。 してから、された方が閉口するのを見て、しまった、と思う。 後悔はするが、不思議な爽快感が残っている。多分に性格が悪いのだろう。零細企業で受託仕事をやっていた頃、元請けの会社に向かう道すがら同僚が言った。 「…

狂気の国のメリー年度末

スーパーの納豆売り場で、店員は品出しに夢中でこちらを振り向こうともしなかった。 私が買い物カゴを持って、物欲しそうに見ていても、店員は売り場を大量の納豆パックが入ったトレイで封鎖していて、客が商品を吟味できるスペースを作ろうともしない。 仕…

底辺IT企業は『書けない』プログラマとどう向き合ってきたか

新年から夢のない話で申し訳ないのだが、表題のとおりのテーマである。note.muという記事があって、むやみに長いので飛ばし飛ばし読んだ。 大意としては、世の中には「書けない」プログラマというのがいて(元エントリでは学生さんのようである。さもありな…

今年の懺悔、深海へ潜れmegamouth

というわけで、大して何も思いつかず、なろう小説も完結させず年末となった。今年を振り返ると、本業のほうは呆れるぐらい悠々自適にやった。そういう事をすると仕事が全然来なくなるので、酒ばかりを呑んでいた時期がある。 おかげで今になってすごく忙しい…

ご注文はCIですか?

いい歳なのにWebプログラマなんていう仕事をしている。 正確に言えばWeb屋だ。今や絶滅危惧種になったこの職業は、デザインをPhotoshopやIllustratorでちょっと修正するところから、サーバーのファイアウォールの設定をちょっと変更するところまで、Webに関…

ロスト・ジェネレーションの詩

gendai.ismedia.jpもはやロスジェネはあきらめ始めた、という言葉にジーンときたので、読んでみた。 この記事に出てくる「中年フリーター」氏とは共通点がある(頑張ってるうちに精神を病んで社会から離脱したところとか)私だが、なんだか記事自体はあまりぴ…

ある借金の寓話

gendai.ismedia.jp 「自分にはビジネスで多額の借金があります」と言われると、世間ではネガティブなイメージにとらえられるが、私は逆に高く評価する。彼自身に、借金の金額分の信用があったから、お金を借りることができたのだ。 反対に、起業志望者のなか…

自己愛サークルの薄気味悪さ

身内が亡くなったので、久しぶりに実家に帰った。 私と母はほぼ絶縁状態にあるが、火事と葬式だけは顔を出さなければならない。葬儀はしめやかに執り行われ、私は実家に帰って、ネクタイを外して、母の淹れた茶を飲んだ。茶飲み話で母は私の近況を尋ね、私は…