megamouthの葬列

長い旅路の終わり

どう考えたら IT企業の三景

お盆前進行に入り始めた社内。皆忙しそうにしているが、私には仕事がなかったので、開発研究部署に移ってみた。
部内の机は埋まっていたが、ふと見ると、誰も座っていない机に高性能そうなフルタワー筐体が置いてあった。隣に壮年のエンジニアが座っていた。
早速「このマシン空いてますか」と尋ねてみた。すると、そのエンジニアは「今、このPCのRTX2080×2で学習モデルを検証しています」と答えた。私は虚を突かれた思いがした。
改めて社内を見渡すと、多くのExcel仕様書を作っている派遣社員の中、30代のプロパーエンジニアの隣で、新卒の男の子がゆったりとペアプログラミングしている机もある。あれも、大学院を卒業しているのだろう。
仕方なく閉塞した空気でいっぱいのSI事業部に戻ると、ここでも若者が懸命にエクセルを操作して、検証エビデンス用のスクリーンショットをとっていた。凝りもせずに「ここ空いてますか」と尋ねると、彼の上司らしきおじさんが仕方なさそうにやってきて、奥からパイプ椅子をとって、若者の隣に乱暴に置いた。
私は若者の操作を眺め続けて、さっきの操作でセルの罫線が一部消えてしまったことを指摘したが、軽く舌打ちをするばかりで、見向きもしない。居心地の悪さを感じながら、このIT企業の三景をどう考えたらいいのか自問した。