megamouthの葬列

長い旅路の終わり

RE: 最終出社日について

松田部長
お疲れ様です。システム戦略グループの山下です。

最終出社日についてのお返事ありがとうございました。
先日ご連絡した来年1月20日を最終出社とする退職は難しい、とのご回答でしたが、申し訳ありません、こちらとしましても、諸事情を考慮のうえ、最終出社日をご提示させていただいている次第となりますので、退職日を3月末まで延期するというご希望に沿うことはできません。
あしからずご了承下さい。

また、同時にご連絡させていただいた業務の引き継ぎについてですが、引き継ぎ人員が存在しないことにより、未だ一切の進捗がございません。

おそらくは、この点が、松田部長のおっしゃっている「就業規則上に明記されている業務上の支障が発生する事由」に該当すると思われます。
この点につきましては、システムインフラを解する人員が私以外に存在しない現状において、とり急ぎ解消の目処はたたないかと愚考いたします。
よって、勝手ながら、先般ご連絡させていただいた引き継ぎが必要な業務一覧のスプレッドシートを、全社に共有させていただきますと共に、各業務について引き継ぎ人員を、関係部署で独自に抽出、アサイン頂ますよう、事業部責任者ALLにアナウンスいたしました。
最終日となる1月20日 10:00より本社大会議室にて引き継ぎMTGを設定いたしましたので、遅くとも2日前までには各業務の引き継ぎ先を決定するよう、各事業部責任者へあらかじめお口添えいただけますようお願い申し上げます。

引き継ぎ先となる人員が存在しない現状におきましては、全社一丸となって、私の業務引き継ぎを行なっていただく必要があります。繰り返しになりますが、ご協力をお願い致します。


一点、懸念しておりますのは、先般のメールにありました退職日の延期について、その間に私の引き継ぎについての人員を確保する、または外注する計画があるのではないか、という点です。
その点を明言いただいてはいないので、杞憂だとは思いますが、念の為、仮に私の退職を3月末日と設定したとしても、その計画は実現性が絶無である点についてご指摘申し上げます。

理由としては、まず、年収・予算設定となります。
現在私の年収が28万円/月+賞与1.5ヶ月分で、378万円となっておりますが、残念ながら都内にて、この年収設定でオンプレミスとパブリック・クラウドを横断する専門知識を持ったエンジニアを採用できる可能性は全くありません。
年収378万円は手取りとしては約309万円となります。月にして23万円程度となりますので、首都圏の賃料などを鑑みると、専門技能をもった人員を確保する予算としては不十分という点がご理解いただけるかと思います。
幸い、私は都内に実家があり、小学生の頃より親しんだ自室に居住しておりますので、勤務が可能でしたが、限られた募集期間でそのような人材を採用できることを前提として計画するのは無理があると思われます。

他方では、業務委託またはSESなどを利用して、社外リソースの常駐人員をアサインすることも想定できます。しかしながら、社会保険の折半分を追加したうえで、私の人件費(おおよそ450万円/年)を予算として設定すると、おおよそ相場の半分以下の予算感となりますので、こちらも非現実的な計画と言えます。

フルタイムでなく、週3勤務、またはフルリモートであれば、予算的には成立する可能性もなくはないですが、時短勤務では、緊急対応ができない点で現状の運用体制が実現せず、リモート勤務については、VPNルーターなどの設備がそもそも存在しない(導入するにしてもその機器、ソフトウェアの保守ができない)設備上の問題に加え、いくつか社内でホスティングしているクライアントのサーバーへのアクセスポリシーに抵触する可能性が非常に高く、全てのサーバーについてクライアントとの合意が必要と考えると、実現性は著しく低いと考えざるをえません。

よって、私の退職日の延期は、業務の継続という次元においては、ほぼ意味をなさない提案であると考えておりますが、いかがでしょうか?


とはいえ、私の退職によって、業務の継続に多大な支障をきたすであろうことは事実であり、このような事態に至りましたことは、システム戦略グループの最後のメンバーとなった私の責任であると考えております。誠に申し訳ありません。

今年春にありました役員面談の際にも、松田部長にはシステム人員の早急な増員について提言をいたしました。
しかし、現在に至るも、私が同席する採用面接が一度も行われていないことを鑑みれば、おそらくは人事部による決死の採用活動も、功を奏さなかったものと推測されます。
おそらくは、この原因として予算感の絶対的な錯誤があり、まさしくこれは私が日々業務を遂行することで、システム・インフラ部門のコスト感と経営判断を大きく歪めていたのではないかと思い知らされるのです。誠に慚愧に耐えません。
(もっと早く声を上げておけば、と後悔することしきりです)

本日もサーバートラブルの収拾のため、出社しておりました。
今年最後のメールがこのような長文になりましたこと、改めてお詫び申し上げます。


P.S 年明け1/6,1/7に代休をいただきます。また同時に有給を消化いたしますので、2020年最初の出社は1/20となります。それではよいお年を。

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