megamouthの葬列

長い旅路の終わり

学歴別!中小企業のIT技術者就活ガイド

今日から新年度である。新卒の読者諸兄におかれましては、おそらく最初の出社になるだろうから、さぞ緊張と期待で訳が分からなくなっているかと思うが、どうせ当分は大したことはやらせられないから、まあ肩の力を抜いて適当にやっておいてもらえれば良いと思う。

大学中退者である私は就活もしたことがないし、新卒で会社に入ったこともないのだが、何故か新卒や中途採用の面接官をやったことは何度もある。
なので、今回は、これから本格化していくであろう就職活動のポイント、特に中小企業のIT技術職採用側の立場で、アドバイスをしたいと思う。

前提条件

まずどういう中小企業を狙うか、であるが、はっきりと断言すると

大手子会社>自社サービス・ベンチャー>大手のクライアントを持つ制作会社>その他の制作会社>人材派遣

である。人材派遣は最後に置いた。詳しくは言わないが、新卒カードで入るところではないし、簡単に受かるし、別に中途でもいつでも入れるので、全部落ちた後なら別だが、新卒が狙うものではない。
制作会社の顔をして、人材を現場に送り込むことを主業務にしている会社もあるので、注意が必要である。求人に「SES業務」とか「出向先の現場」などの字が見えたら、次に行こう。

次に初任給であるが、大体相場があると思うのだが、あまりこだわらないほうが良い。
そもそも初任給を1~2万高くしているところは、あなたの新卒カードをその値段で買い叩こうとしているだけで、昇給が遅い場合も多く、特に参考にならない。(たまにすごく資金が豊富で、実力主義の企業が法外に高くするケースもあるので、すごく高いのがダメというわけではない)

あと、浪人や留年は、中小企業ではどうでもいいことが多い。負い目を感じる必要はない。聞かれたら「ちょっと世界を見ておこうと思って」とか適当に答えておけば良い。

では、あなたの学歴別に面接での対応などのアドバイスをしたいと思う。

高学歴のあなた

稀に何をトチ狂ったのか旧帝かそれに準じる大学、あるいは早慶近などの有名私立から私がいたような中小、ベンチャーに新卒応募してくる者がいる。
最初に言っておきたいのだが、中小企業の経営者というのは過度の学歴コンプレックスを持っているか、学歴信仰を持っているかどちらかであるので、
よほど、舐め腐った態度を見せない限り、最終面接まで行くことが出来るだろう。
私のような一次選考の面接官は高学歴のあなたを落とすようなギャンブルをするわけにはいかないのである。

最終面接はおそらく役員面接か社長面接になると思うが、そこでも「(低学歴のクセに)一代でここまでの企業を育てあげたのはすごい」とか「安定した立場を捨ててベンチャーに挑戦するスピリット。マジパネえっす」的な社長リスペクトな態度を崩さなければ、まず落ちることはないだろう。

ただ、なまじ早い時期に中小企業の内々定を貰うのも考えものである。
本人は滑り止めや面接練習のつもりで来たのかもしれないが、こちらとしては、あなたのような人材を逃すわけにはいかないので、懇親会やら社内見学やら適当な理由をつけて、あの手この手でその後の就活を妨害する活動を活発にやらざるをえない。
なので、正直この時期(4月前後)に応募するのはお勧めできない。

どうせ中小企業なんて万年人出不足で、秋口以降も採用活動してるのだから、大手をひとしきり受けて、全部落とされるなどして自尊心がボロボロになった頃にやって来ても充分間に合う。
8月以降にお会いしましょう。

有名マンモス私立校のあなた

マンモス校出身のあなた。大体において学歴に問題はないことが多いので、面接や筆記試験を無難にこなせば最後まで行けることは多い。
ただ、中小の場合、狭い社内に特定の大学のOBがひしめいていたりするので、対立する大学の学閥が存在する企業に行くのはお勧めできない。
採用されても、その後、様々な差別や嫌がらせを受けることは想像に難くないからだ。

よく知らないが、大学の就職課に行けば自分の大学のOBがひしめいているような中小企業の一つや二つは見つかると思うので、大手に行くことを諦めたなら、そういうところを優先的に受けることをお勧めしたい。

偏差値50前後のあなた

中小企業の採用において一番のボリュームゾーンがここである。
大手企業に応募したいが、説明会すら満席表示されるというあなた。かわいそうだと思う。でも世の中そんなものだし、大手に入ることだけが幸せでもないので、精神が摩耗する前に中小企業で内定の一つや二つ取っておいても損はないと思う。

まず、一番大事なことを言いたいのだが、中小企業には「地頭信仰」というのがある。
ようするに応募者の学歴が似たり寄ったりなので、その中で使える人材を探すために、「本当は頭がいいのに、受験勉強が嫌いなので、この程度の大学でエンジョイしてしまった勢」を狙っているのである。

面接官をしているとわかるのだが、このクラスは、想定問答をがんばってこなして、どんな質問でもソツなく答えてしまう応募者が実に多い。
はっきり言ってしまうが「地頭信仰」の中では逆効果である。

面接官は、なんとか想定問答を外れて素の答えが引き出せるようにあの手この手の質問をしてきたり、フランクに接してリラックスした空気にしたりする。圧迫面接という手もあるらしいが、あれはやってるほうもアホらしいので、そういう場面に出くわしたら「あーこの人も上の人に言われて小芝居やらされてるんだなあ」ぐらいにスルーするのが正解である。

さて、地頭信仰を逆手に取る方法を教えたいと思う。
極限まで想定問答をこなして、さも「今考えました感」を出すのである。口を開く前にいちいち「そうですね…」と間を空けるのもいい。
なんかよくわからないが、サークル活動とか、バイトリーダーでの経験を、こちらの質問にかぶり気味に答えてくる応募者がいるが、こちらとしては「あちゃー答え用意されてたか」と思うだけであるので、そういうのも「そういえば…こんな事がありましたね」的な感じで答えると、その場で考えた感が出て良い。

一つ注意したいのは、面接官の会話のテンポに合わすことである。どうでもいい質問はさっと答えて、考えないと出ない答えはゆっくりめに答えるような自然なテンポが出るのが望ましい。勘の鈍い面接官ならテンポが合うだけで、自分と同程度には「地頭は良さそうだ」という判断を下してくれるだろう。

IT系専門卒のあなた

専門卒の場合、「ちゃんと勉強してきたか」というのが見られる。あなたは即最前線に送られる兵隊要員なのでしょうがないことである。
というか、このクラスは圧倒的に、「2年間何してきたんだお前は」的な曖昧模糊とした応募者が多いので、そういうのを弾かなければならない、こちらの気持ちもわかってほしい。

質問に対する答えは適当でかまわないが、卒業制作などの実績は、知ってる限りの技術用語を駆使して「ほら私こんなに勉強したんですよ」感を出そう。

こちらが欲しいのは専門学校の成績上位者5%である。そんなに勉強しなかった?じゃあプライベートで勝手に作ってました。だって学校って退屈なんですもの、感を出そう。好きなゲームやサイトについて一生懸命語るのもいい。

とにかくこちらとしては、出来る限り実直で、専門学校の日々をキチンと勉強に費やした人間を振り分けないといけないので、何も用意せずに、「はあ、そうですか」的な反応をされても困るのである。

中退者のあなた

そもそも新卒の面接に来るのがおこがましいと思うが、来ちゃったものはしょうがない。
もし入った大学が標準以下なら、素直にバイトしながら放送大学に入るなり、他の大学に入り直すことを考えたほうがいいと思う。
それでも就職したいのであれば、プライベートでスマフォアプリの一つでもリリースしてないと難しい。なんでもいいので、とにかく熱意をアピールしよう。

ある程度の学歴の中退者であれば、話は簡単になる。
面接で、確実に中退理由を聞かれると思うが、「興味のある授業ではなかった」とか「一般教養はおもしろかったんですけどねえ」とか言っておこう。
とにかく中退者に求められるのは「はったり」である。大学なんてちゃんちゃらおかしいところ、こちらから願い下げですよ!感を出すしか、あなたが生き残る術はないと思っていただきたい。

ここでも「地頭」信仰が生きてくる。とりあえずは過酷な受験戦争を生き残ったエビデンスは持っているので、そこはアピールせずともわかってもらえる。(逆にアピールしすぎると「卒業もしてないくせになんだこいつは」感が出てしまうので、挫折してお恥ずかしい、という態度は終始維持しよう)

とにかく中退者は人格がひん曲がってたり、極端に自堕落であることに気づかれないようにさえすれば、中小企業程度なら「なんかおもしろそうな奴」枠で入るのはそれほど難しくない筈である。



以上が、中小企業のIT技術職の就活ガイドである。とりあえずは新卒カードを使って、そこそこ勉強できる現場に入れれば、3年もあればいっぱしの技術者になれる。
そうなれば、よりいい会社に転職してステップアップも可能だし、フリーで生きていくことも可能かもしれない。IT技術職というのは自由になる為の選択としてはそう悪いものではないということは言っておきたいと思う。


就活生、皆さまのご健闘をお祈りいたします。