megamouthの葬列

長い旅路の終わり

随想

プログラマと出世

就職することになって、つまりは私が職業プログラマになって、それを聞き知った叔父が私を訪ねてきた。「プログラマってのは、若いうちはいいが、長くはできないんだろう?」リビングの炬燵に潜り込んだ叔父は寒そうに体を震わすと、最初にそう尋ねた。 当時…

電通のビジネスはなぜ嫌われるのか

久しぶりなので、どうでもいい話をする。 大昔、たまたまつけたTVに『ですよ。』という芸人が映っていて、漫談というのかコントというのか、お笑い番組だったから、とにかくひょうきんなことをやっていた。 どういうものだったか、書くのも面倒なので、Wikip…

僕らのSIerワンダーランド

この業界に入る前、私はいわゆる電電ファミリーと呼ばれるNEC、富士通、OKI、日立のような巨大ベンダーには、さぞかしハイレベルな開発体制があって、マネージャーから一兵卒に至るまで中小零細とは全く異なる頭の良い人たちが、日夜世界を相手にしのぎを削…

ズルイ

つい、身も蓋もない話をしてしまう。 してから、された方が閉口するのを見て、しまった、と思う。 後悔はするが、不思議な爽快感が残っている。多分に性格が悪いのだろう。零細企業で受託仕事をやっていた頃、元請けの会社に向かう道すがら同僚が言った。 「…

ロスト・ジェネレーションの詩

gendai.ismedia.jpもはやロスジェネはあきらめ始めた、という言葉にジーンときたので、読んでみた。 この記事に出てくる「中年フリーター」氏とは共通点がある(頑張ってるうちに精神を病んで社会から離脱したところとか)私だが、なんだか記事自体はあまりぴ…

ある借金の寓話

gendai.ismedia.jp 「自分にはビジネスで多額の借金があります」と言われると、世間ではネガティブなイメージにとらえられるが、私は逆に高く評価する。彼自身に、借金の金額分の信用があったから、お金を借りることができたのだ。 反対に、起業志望者のなか…

自己愛サークルの薄気味悪さ

身内が亡くなったので、久しぶりに実家に帰った。 私と母はほぼ絶縁状態にあるが、火事と葬式だけは顔を出さなければならない。葬儀はしめやかに執り行われ、私は実家に帰って、ネクタイを外して、母の淹れた茶を飲んだ。茶飲み話で母は私の近況を尋ね、私は…

白米にゴマ油を

たらすと、疑いなく不味くなるのだが、不思議と食欲をそそる風味にはなる。 そして、醤油をかければ、ひとまずは食えなくもない味になる。 最近、腹は空くが、食欲がないので、酒とこういう食事で生きながらえている。とりとめのない書き出しなのは、とりと…

勉強するとこんな人になりますよ

axia.co.jpどこかのエントリで呼ばれた気がした。 必要もないのに他人のエントリに乗っかるのは好きではないのだが、たまにはブログっぽいことを書かないと、と思ったので、軽く書く。 ある勉強したプログラマの末路 まず自分の話をしたい。 私は趣味で多数…

ブラック企業消滅チートバグ

以前www.megamouth.infoという記事を書いて、なんだか妙な方向でヒットしてしまい。コメント欄が罵詈雑言で満たされたという事がありまして、 私もブラック企業を憎む人がこんなにもいるんだなあ、と思ったわけですが、ブラック企業が憎い憎い!、というあな…

孤独を巡る物語、その淀み

孤独癖というのがあるらしく、私もそういう性質を持っている一人だと思う。人と関わるのが嫌いというわけではないが、飲み会だとか、遊びに行くだとか、そういう約束をしてしまった直後から、その予定が妙に気になって、億劫になり、当日になると、何故こん…

隣のテロリズム

元々書きたいことはあったが、なんとなく書けないし、それが件の殺人事件の影響なのか、自分でも判然としない。 なので、以下はただのクソエントリであり、覚書でもない。本当は公開すべきものですらないのかもしれない。 * 私の高校時代の恩師は、世界史の…

1999

私たちの世代について、説得力のある主張でもなく、論評でもなく、ただ、腑に落ちる話をしたいと思っている。1999年のある日のことを覚えている。 その日は家庭教師のバイトがあって、私は外で時間を潰す必要があった。空は厚い雲で覆われていて、まとわりつ…

鬱病で貧乏でキモいおっさんエンジニア

本当に書きたいものがあるし、書いているのだが、いつまでたっても納得がいかず、掲載出来ないので、今回も一発書きである。 毎度、言い訳から始まって申し訳ないと思うのだが、たまには愚痴を吐かせて欲しい。ダメだと言われても書くのだけど。私はこのブロ…

本当に好きなことを見つける方法

ちょっとした論評めいた物を書こうと思って、プロットから書き出してるが、最近「書く」絶対量が減っていて、文章がすっかり下手になってしまっているので、練習がてら一発書きする。 最近、何もする気が起きないし、仕事も簡単なものがポツポツ来るぐらいな…

『修正になんでも応えてくれるデザイナー』を憐れむ歌

いつまでも定点が残っているのも何なので、お茶受け程度の記事を書く。キャンペーンの打ち方の「悪乗りっぷり」では定評のある日清のtwitter上のネタの一つだと思うが、こういうのがあった。修正になんでも応えてくれるデザイナーさんが上司からの「チーズ感…

経営者についてのとりとめのない回想

経営者の物語を書きたいと思った。 「取材」をしようと思い、経営者の書いた本と、経営者を主人公にした小説を幾つか図書館で借りてきて読んだ。私はそこに孤独が書かれていると思っていた。出資を受け、または個人保証で金を借りてハイリスクな勝負を挑む、…

マイ アイアン ラング

徹夜明けの朝、つけっぱなしのテレビから、朝のワイドショーから、ヒステリックな女の声がTVから流れてくる。 それはある女代議士の声で、部下の無能さを車の中で罵っているのだ。その声には単なる叱責とは異なった、病的で狂気を帯びた響きがある。それが白…

司祭としての医師

以下に、人の死について、非常に生々しい話を書く。 なので、直近に肉親を亡くされた方や苦手な方はご遠慮いただきたい。 news.livedoor.comというネットニュースを見た。 そもそも私はくわばたりえが好きではなく、それは彼女が仕事として代弁しようとして…

ダブリンのジョイス、蜂蜜と美味しんぼ

始めに断っておくが、この話にオチはないし、特に教訓めいた結論もない。最近の痛ましいニュースと共に、うむ。「蜂蜜は乳児に与えない」って話を、みんながいつ、どこで知ったかってのには、ちょっと興味がある。常識っていうほど常識だっけ?というか。妊…

「ホームページを作っています」

20世紀末から00年代の前半の話をする。かつてWebとは「ホームページ」のことだった。 Web屋とは「ホームページ」と、トップページのFlash、あとはそこに付随するちょっとしたお問い合わせフォームのCGIを設置するか、制作するのが仕事であると思われた時代が…

スタープログラマの幻影

最近久々に「スタープログラマ」という言葉を聞いた。そういえば、私の中にもかつてそういう存在がいたなあ、と思い出した。 あえて定義することもないが、スタープログラマとは、先進的なOSSプロダクツを実装し、ブログなどでプログラミングを堂々と論じ、…

「作る」こと「語る」こと、その呪い

昔の恋人に名を呼ばれたような気がして、目が覚めた。彼女は時々夢の中に現れる。 そうした時はとても暖かく、いい夢だったと感じる。 おそらくは彼女は既に自分と統合されて内なる神となっていて、私はそれを「アニマ」という聞きかじった言葉で呼んでいる…

みそねこを偲ぶ

思い出の中にしかいない人、それも面識があったわけではなく、 その「作品」を通じて知っているだけという人がいて、2年ほど前、私は彼の訃報を聞いた。彼の名前は「みらゐ」。ゲームミュージックの作曲家で知られ、同人音楽やバンド活動でもその名を馳せた…

罵倒おじさんの喪失

今朝からずっとテレビが台風の接近を繰り返し警告しているのを知っていたので、駅舎のアナウンスで数十回も「申し訳ありません」と謝られなくとも、この電車で目的地に行き着くことができないことはよく理解できた。私は、道の半ばにして止まってしまった電…